河合塾にフォーカス
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データ分析のスペシャリストに聞く“|11|『情報の河合塾』2〜受験生に寄り添い必要な情報を提供〜”
高校生や進路指導の先生方に不可欠な受験情報には、大学ごとの科目・配点や出題範囲のような細かなものから、今後の大学教育の行方など大きなものまで様々な種類があります。これらの情報の収集・分析・発信を一手に引き受ける学校法人河合塾 教育情報部の奮闘を2回にわたってお伝えします。2022年01月14日公開
第2回目は、『情報の河合塾』の強みと、今後の方向性について紹介します。
全国の受験生を預かっていることが信頼感につながる
受験情報の発信は、これまで情報誌が中心だった。河合塾でいえば「Guideline」や「栄冠めざして」シリーズなどがそれにあたる。現在では、これらに加えて大学入試情報サイト「Kei-Net」が稼働しており、迅速な情報発信が可能になっている。
「河合塾の発信する情報に厚い信頼が寄せられている要因の1つには、予備校・塾として実際に受験生を教え、志望校の情報を集め、模擬試験を実施し、その成績と合格大学の関係を分析し…といった具合に、受験生一人ひとりの成績から進学先までの情報を、河合塾だけで完結できるところにあると思っています」(亀井)
必要な情報が何かをわかっていて、それを自前で収集できることが、『情報の河合塾』を支えているわけだ。
「大学の情報を取り上げる際も公平性には特に気をつけています。大学の数は首都圏と近畿圏に集中していますから、2大都市圏の大学を取り上げる比率は必然的に多くはなりますが、河合塾は全国展開しているメリットを生かし、地方の大学の情報も積極的に取り上げ、地域的に偏った情報の取り上げ方はしないようにしています」(亀井)
多様な入試形態に合わせた情報発信に心がける
現在は、高大接続改革が進行中だ。大学入学共通テストに切り替わり、思考力・判断力・表現力が要求されたり、英語の4技能が求められたりといった改革が行われている。推薦入試やAO入試が、学校推薦型選抜や総合型選抜に名を変え、入試全体で多様な評価方法を採用することが求められている。
「最近の大学入試のキーワードは、〝主体性の評価″です。大学が具体的にどんな資料あるいは手段で主体性を評価しているのかを、受験生にきちんと伝えたいと思っています。具体的には、志望理由書を課している大学はどこか、調査書をどの程度判断材料に用いているかなどについて、一覧表にするなど受験生にわかりやすい方法で提示したいと考えています」(藤村)
「河合塾では、これまで一般選抜を受験する人を中心にサポートしてきましたが、学校推薦型選抜や総合型選抜などの入試方式を利用する受験生への情報発信も手厚くしていくことを考えています。関連情報の収集は以前から行っているため、どのような形で発信すれば受験生に届きやすいかも踏まえて、フレキシブルに発信していくつもりです」(藤村)
大学入学後に必要となる情報も事前に発信
2022年度から高校は新課程となり、大学入試や大学教育のあり方が変化していくなかで、受験生が求める情報は変化している。
「これまでよりも、大学入学後の情報への比重が大きくなっていることを実感しています。この学部学科で具体的に何を学べるのか、どんな教育を行っているのか、学生へのフォロー体制や就職支援システムはどうなっているか、などを知りたいという受験生が増えてきています。これまでは大学の入り口に関する情報が重視されていましたが、現在は入り口に加えて、中身や出口に関する情報も求められるようになっています」(亀井)
大学の中身については、実際に大学に入学してからでないとわからないことも多い。大学もパンフレットなどをつくっているが、それだけで受験生がその大学のことを十分に理解できるとは限らない。
「例えばオープンキャンパスは、その大学を知る大きなチャンスだと考えています。どの大学もオープンキャンパスへの参加を促しており、メディア広告やダイレクトメールなどを使って頻繁に情報を発信しています。我々も大学入試情報サイト「Kei-Net」などを使って、各大学のオープンキャンパス情報を積極的に取り上げるようにしています」(亀井)
「ただし教育内容や出口に関しては、一覧表にして、一律に同じ表記で比較することは難しいと思っています。それぞれに異なる特徴がありますから、それらの特徴が出るような表現を工夫し、トピックス的に発信するようにしています。偏差値や難易度にあらわれにくい大学の良さを、できるだけ見つけ出して伝えたいと思っています」(亀井)
目標を高く持ち、努力する大切さを伝えたい
日本は人口減少局面に入り、受験人口もどんどん低下している。そういう時代における教育情報のあり方について、どのような展望があるのだろうか。
「少子化が進行し、大学が淘汰される時代が来ています。かつての80年代後半や90年代に比べれば、現在はどの大学も合格しやすくなっているのは事実。そのため、受験生の中には受かり易い大学を受験し、受かった大学に入学してしまう人もいます。その選択が一概に間違いだとは言えませんが、本当に自分の将来を考えた最良の選択だったのか、という疑問が残ります。」(亀井)
実際、毎年ゴールデンウィーク頃にこんなはずではなかったと退学し、河合塾の門を叩く人が一定数いる。最近の例では、コロナ禍でもちゃんと対面授業をやっている大学にいきたいなどの理由で、再チャレンジする塾生も出てきたという。
「教育情報を扱う我々の重要な役割は、受験生と大学のミスマッチを防ぐことです。その受験生が何を重視しているのか、それを実現してくれるのはどの大学かを、入試情報も含めて伝えていくことが、受験生にとっても大学にとっても、我々にとってもいちばんベストな形なのではないでしょうか」(亀井)
「教育機関としての河合塾が受験生に願っているのは、目標を持って最後まで努力できる人になってほしいということです。受かりやすいところ、入りやすいところで妥協せず、高い目標を掲げて努力していくことの大切さを伝えていきたいですし、その手助けとなる情報を発信していきたいと思っています」(亀井)
■亀井 俊輔(かめい しゅんすけ)
学校法⼈河合塾 教育情報部 部⻑。1997年⼊塾。近畿地区・首都圏の高校営業を担当し、学校現場のニーズ把握とその課題解消に注力した。2017年より新宿校にて生徒指導に従事後、2019年に教育情報部へ籍を移し、今年度より現職へ。日夜、大学入試情報の収集と分析・発信業務にあたっている。
■藤村 豊(ふじむら ゆたか)
学校法人河合塾 教育情報部 情報DBチームチーフ。1986年入塾。ビデオ講座制作、衛星通信の実験に携わり、1991年よりシステム部門で業務改革系のシステム構築に従事、進学事業系部門を経て、2017年より現職。大学入試情報の管理・発信に取り組む。