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河合塾フォーカス

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総合型選抜と学校推薦型選抜の現状と合格の秘訣|20|総合型選抜と学校推薦型選抜のいま~合格する人とそうでない人の差~

近年、急速に拡大する総合型選抜や学校推薦型選抜 。
今回は、年々変化する総合型選抜や学校推薦型選抜の現状と、実際に合格するための秘訣を2回に渡ってお伝えします。

私立大学では入学者比率が約60%を占めるなど、総合型選抜や学校推薦型選抜の存在は年々大きくなっています。
前半パートは、総合型選抜や学校推薦型選抜の現状と合格する人とそうでない人の差について、毎年多数の生徒を合格に導いている(学)河合塾小論文科講師の渡邊まゆみ先生にうかがいました。

大学とのマッチング時代!ここ5年で大きく変わった選抜内容

総合型選抜と学校推薦型選抜はあらたな局面を迎えています。
選考には、「志望理由書」「活動報告書」といった出願書類や「面接」に加え、「プレゼンテーション」や「小論文」等が求められるケースも増えました。
ここ数年を見ても、1校あたりの出願書類の種類や文章量が増え、受験生の準備負担はかなり増しているように感じます。特徴として出願書類に「学習(学修)計画書」を課す大学が多くなっています。これは、大学4年間をどういう計画で、何を学んで、将来にどう生かすかを記述するものです。
いずれにせよ、選考では「将来のビジョンを実現するためにその大学で学ぶことが必要だ」 と力強く表現する力が求められます。

同じ大学でも学部や学科によって、選考の内容はまったく異なります。各大学は自校のアドミッションポリシーに合う生徒に入学してもらうため、出題内容に工夫を凝らしています。大学と生徒のマッチングが最も重要なポイントと言っても過言ではありません。

入試はより早期化・長期化へ!変化する選考内容

総合型選抜の前身であるAO入試が広がっていた頃は「一芸入試」とも言われ、留学経験やスポーツで一定以上の成果を出すことが有利とされました。
しかし、今は必ずしも全国大会への出場や難関資格のような実績までは求められません。コロナ禍で高校生が部活動や課外活動などを 思うようにできず、実績を求められることが少なくなった こともありますが、大学入試改革では、教科学力のほかに「思考力・判断力・表現力」や「主体性・多様性・協働性」といった資質・能力を多面的・総合的に評価することがより重視されるようになりました。
選考では学校内外を問わず、高校生活の中での体験や取り組みの深さ、志望大学の学部・学科に合っているかどうかが見られます。

こうした背景から多くの生徒にとって総合型選抜や学校推薦型選抜が身近になってきました。一般選抜以外で志望校に合格できるチャンスが増えると考えれば、併願する生徒が多くなるのは当然のことだと思います。

一方で、総合型選抜・学校推薦型選抜の出願の時期は9~11月が主流で、早期の対策が必要になります。加えて、国公立大では共通テストの受験が必須となる場合も多く、一般選抜の対策も合わせると、入試の早期化・長期化してきていると言えるでしょう。

「総合型選抜」「学校推薦型選抜」で受かる人とそうでない人の差とは?

合格者と不合格者のいちばんの違いは「準備期間」の差に尽きます。
各大学の募集要項は、6月ごろに出そろいます。夏以降に駆け込みで検討する生徒も多くいますが、どんなに遅くても出願締切の2か月前には準備を始めないと間に合いません。理想を言えば、高2ごろから「これまで(過去)の自分」を整理しておくと良いでしょう。

具体的には、体験を振り返ったり、自分の関心や志望のきっかけを言語化してみたり、志望校のアドミッションポリシーやカリキュラムを確認しておくなどが挙げられます。
さらに高2の3学期には、これまでの自分の活動が志望校や志望分野とどうつながっているのかを考えておく必要があります。余裕がある低学年のうちに、学校や塾の先生や保護者、友人らと話しながらこうした自己分析をしておくと準備が進めやすくなり、高3の6月に募集要項が出たら一気に書類対策に入ることができます。
7月に定期試験を控えていたり、夏休みは一般選抜の教科対策に充てたりと多忙な方も多いと思いますので、時間を有効に使って計画的に進める必要があります。
ぜひ、早めの対策を意識しましょう。

受かる書類・失敗する書類 |失敗する志望理由書とは?

求められている内容を深く考えず、合格しやすいと言われるようなエピソードを並べた結果、志望のきっかけや将来のビジョンがストーリーとしてつながっていないといった失敗はよくあります。
たとえば、志望学部や学科に関わらず、部活動から「リーダーシップ」や「協調性」といった自己PRにつなげようとするケースです。
よくよく話を聞いてみると、志望に合ったエピソードを持っているのに、一般的なわかりやすいネタや実績が必要だと思い込んで、自分の良さを伝えられなくなっているものをよく見かけます。

また、近年トレンドの文理融合型や学部横断的な学びができる学部の対策には注意が必要です。出願時 に「多様な学び」「多岐にわたる学び」と書くだけでは、何を学びたいかが伝わらないからです。
これらの学部は入学後にやりたいことを決められるというのが魅力の1つですが、求められるのは「特色ある学びを、自身はどう生かすか?」ということ。この意図をしっかり汲み取り、自分事に落とし込んで対策する必要があります。

受かる書類・失敗する書類 |受かる志望理由書とは?

過去の経験から将来のビジョンまで一貫したストーリーがあり、「大学で何を学んで、何を得たいのか」が言語化できている志望理由書です。「将来のビジョンを達成するために、この大学で学ぶことが必要だ」というように、大学で学ぶ意味を説明することが大切です。そして、学部・学科に合うエピソードを示しながら、今の自分の関心を伝えることができれば、受かる「志望理由書」に近づくはずです。
出願時の要件に入っていない場合は、客観的な成果や特別な実績は必要ありません。
実際に合格した獣医学部志望の生徒の例では、動物が大好きで何度も牧場を訪れて、手紙のやり取りをしたことを、エピソードに入れた生徒もいました。

「将来のビジョン」についても、現時点での考えで構わないので具体性を持つこと。大学卒業後のことはまだ考えられないと、はっきり言えない生徒も多いですが、将来像をイメージできないと、大学入学がゴールという書類になりかねませんし、自分の意欲も伝わらなくなってしまいます。
伝わる書類を作るには、それなりのテクニックも必要で、生徒だけでは難しい部分もあるかと思います。ぜひ信頼できる指導者から適切な指導を受けてほしいと思います。


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後半パートに続きます。後半パートでは、面接など受験のアドバイスと河合塾の指導についてお伝えします。