「私と河合塾」-OB・OGが語る河合塾-: Vol.139 (2025年3月公開)
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河合塾で学んだ<br />本質から考える力を<br />ウェブサイト構築・運営に<br />十二分に活かす!<br />
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株式会社コンセント
ウェブディレクター芳賀 南実さん
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どうしても学びたい研究室に行くため河合塾へ
・・・河合塾に通うことにした理由を教えてください。
志望校を決める段階で、自分が何に興味を持っているのかをじっくり見つめ直しました。すると、世の中にあふれている音や色というものが、人々にどのような影響を与えているのかを知りたい、学びたいと思っている自分がいることに気づきました。
たとえば、どんな音楽なら人はリラックスできるのか、逆に緊張感が高まるのか、どんな色だと人の関心を引くのか、あるいは和やかになるのか、さらには自分が今見たり聞いたりしている色や音は、他の人にもまったく同じ色や音として伝わっているのだろうか、自分がその色や音から感じるものは、他の人が感じるものと同じなのだろうか…などなど。
調べてみると、こうした研究を行っているのは心理学の中でも、認知とか知覚といったことを扱う実験心理学と呼ばれる領域であることがわかりました。そこでいろいろな大学の研究室を探索し、千葉大学文学部の行動科学科(現人文学部行動科学コース)を第一志望にすることにしましたが、残念ながら現役生のときは不合格でした。
ところがそのタイミングで東日本大震災が発生。仙台の自宅は被災を免れたものの、今後について親とも相談し、最終的には自分のやりたいことを貫きたいと浪人を決めました。周囲の“国公立文系なら河合塾”という定評にしたがって、河合塾仙台校に通うことにしました。
本質的な部分から考える力を身につけてもらった
・・・河合塾での印象に残っていることを教えてください。
河合塾時代に講師に添削してもらった現代文の答案と漢文テキスト
一言でいえば、充実した日々を過ごすことができたということです。同じ高校の浪人生3人といつも切磋琢磨しながら力をつけていきました。
とくに印象的だったのは漢文の授業です。講師の先生は、受験が終わればほとんどの人は漢文に触れる機会がないことを踏まえた上で、漢文というもの自体に興味を持って深めていくことができるような授業をしてくださいました。中国の歴史的背景も含めながら書かれている内容を吟味し、味わっていくような、大学での研究のような授業でした。
現代文の授業では、文章を書く力を伸ばしていただきました。毎週、授業で扱った素材文の要約を次週に提出する課題が出されるのですが、講師の先生は毎回丁寧に添削してくださいました。理解があやふやな点は必ず指摘されるので、文章をしっかり読み、理解して、改めて文章にまとめるという力を、この添削を通して身につけることができました。
自宅が流されたり、浪人したくてもさせてもらえなかった人がいたりして、騒然とした中での浪人生活でしたが、チューターの方々の細やかな心遣いや、空き教室・自習室・ラウンジと整った自習環境のおかげで、無事リベンジを果たすことができました。入試問題を解くといった目先のことではなく、何が問われているのか、何が求められているかといった本質的な部分から考える力を、この1年間で身につけることができたと思っています。
就職活動を通して大学で学んだことを活かす仕事が見えてきた
・・・大学で力を入れた活動と、卒業後の経緯を教えてください。
大学での卒論発表会の様子
勉学面でいえば、希望するゼミに所属でき伸び伸びと研究することができました。卒業研究では、音(周波数)の上下が視覚的な上下にどう結びついているかをテーマにしました。一方、大学から始めたストリートダンスのサークルにも所属し、年1回ある舞台公演の総合演出も手掛けるようになりました。こちらの意図を伝えるにはどう表現すればいいのを考えるようになり、そこに心理学で学んだことを活かせるような仕事をしたいと思うようになりました。
しかし、具体的な仕事像がイメージできません。50社以上にエントリーしましたがなかなか内定をもらうことができませんでした。ただ、様々な企業の面接担当の人と話しているうちに、自分がやりたい仕事のイメージが明確になってきて、ようやく現在の会社に辿り着くことができました。この会社ならやりたいことができそうな気がしたとともに、長期的に働ける環境も整っていると思い、入社しました。
常に原点に立ち返って全体をデザインすることを意識
・・・現在は主にどのようなお仕事をなさっているのでしょうか。
企業や行政のウェブサイトの構築やサイト運営などを支援する仕事をしています。こうしたサイトは、たとえば事業内容や企業活動の情報発信をする場であり、ビジネス観点で重要な役割を担っているものです。しかし企業視点に偏らずに、サイトの利用者にとって欲しい情報を取得しやすいようにバランスをとって設計を行っていきます。またプロジェクトの進め方として具体的にはプログラムを書くエンジニアや、イメージを形に落とし込むデザイナーなどとチームを組み、クライアントとのやり取りやタスク管理などを行う役割を担っています。チームが円滑に活動できるように配慮しつつ、人に伝わる表現を生み出すという意味で、大学で学んだことを活かせる仕事に就けていると思っています。
河合塾での浪人生活で、最後まで諦めずに向き合い続ける姿勢のようなものを培えたと思っていますし、何よりそこで得た本質的な部分から考える力は、本当にビジネスに役立つウェブサイトになっているか、そもそもウェブサイトは必要なのかといった、物事を原点から考える発想につながっていると思います。
ウェブの世界はどんどん変化していきますから、将来に備えて視野を広げながら、変化に柔軟に対処していけるよう、今後もしっかり準備していきたいと考えています。
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芳賀 南実(Minami Haga)
宮城県出身。河合塾仙台校 大学受験科国公立文系コースに在籍し、千葉大学文学部へ進学。行動科学科 心理学専攻卒業。世の中にあふれている音や色というものが、人々にどのような影響を与えているのかに興味を持ち、大学時代は音(周波数)と視覚の関係をテーマにした研究を行う。卒業後、デザイン経営や事業開発、マーケティングやブランディング、クリエイティブ開発等において、戦略策定から実行まで一貫して支援する、株式会社コンセントに入社。現在は、ウェブディレクターとして自社内のエンジニア・デザイナーとチームを組み、クライアントへの提案やタスク管理などのプロジェクトマネジメント業務を主に担当している。
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