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京都新聞・神戸新聞・産経新聞に河合塾によるコラム連載(第10回)

2022年02月10日

京都新聞、神戸新聞と産経新聞に、京都大・大阪大・神戸大など関西の難関大受験をテーマとしたコラムの連載しています。本連載では、河合塾近畿地区の講師やスタッフが難関大受験に役立つ情報をお届けします。
今回ご紹介する第10回目は、河合塾現代文科講師の平田匠先生が神戸大学入試の現代文を振り返ります。

神戸大学入試の現代文を振り返る ~「知的体力」の涵養~

神戸大学という「実在」をきっかけに、何かしらの理由をもって入学を希望し、神戸大学生である自分を「想像」している受験生が、自らの「想像」を具現化するためには幾つかの「現実」の毒を克服しなければなりません。ここでは、その「『現実』の毒」の一つである神大現代文について、図に示した神大現代文の特徴①~④に即してお話しすることにします。

▶神大現代文の最大の特徴は①です。②と併せて言うならば、多彩なテーマに応じた固有の抽象概念が頻出する長大な評論を読むだけの「知的体力」が必要になります。現代文は神大国語のなかで1題のみの出題ですが、その分、出題者は受験生の「知的体力」を1題の出題をもって、ストレートに問うていると言えそうです。その点、③・④は他の国公立大とさほどの違いがあるわけではありませんが、④についてはそれでも注意が必要です。神大現代文の記述問題は、③に即して言うなら、ここ数年は、3題が「80字以内」の説明問題であり、1題が「160字程度」の説明問題です。しかし、「160字程度」の説明問題がなかなかの曲者で、毎年、この設問の出来不出来が合否に大いに関わっているという現実が認められます。その「160字程度」の説明問題なのですが、例年、「本文全体の論旨をふまえたうえで」という条件付きで、傍線部の内容説明や理由説明が求められる形式がとられています。他大学の中には、直接「要約」を問う設問を用意しているケースもありますが、神大は「要約」それ自体は問うてなくても、「『要約』力」がないと太刀打ちできない設問が例年用意されているのです。長大な、それも硬質な評論を要約する「力」がないと、現代文を得点源にすることは不可能である…という意味で、あらためて「そんなに簡単な問題ではない」ということを自覚したうえで、対策を立てる必要があるのです。

▶さまざまなテーマの、硬質な、長い評論を読み解く練習となると、実践的には神大現代文の過去問になります。多少古い年度のものであってもかまいません。神大現代文の特徴として、かなり年度を遡っても一貫性が認められるのは、おおいなる僥倖です。神大の予想問題や模試なども併せて、硬質な長い評論を精確に読む力、文章全体を要約する力、制限字数内で過不足なく説明する力等々、十分な鍛錬を積み重ねていきましょう。その積み重ねこそが、「『現実』の毒」を受けようとも、「想像」した神戸大学生を具現化することにつながりますよ。
(河合塾現代文科講師 平田匠)

執筆者のプロフィール

▶河合塾現代文科講師 平田匠

神大をはじめとした志望者への現代文講座を担当。
「神大入試オープン」の作成にも携わっています。
また、医系・自然科学系小論文の講座も担当しています。
生徒に親身に寄り添い、丁寧な質問対応や添削指導などに定評があります。

※ 2022年2月掲載時点