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~教育関係者を対象にしたアンケート結果から見えること~ 高校・大学の先生、チャットGPT等生成AIの利用に「思考力低下」への懸念

2023年06月16日

学校法人 河合塾

河合塾は、教育現場でのチャットGPT等生成AI技術の活用に関する研究を目的に、全国の高校と大学の教員・教授を主とした教育関係者にアンケートを実施しました。その結果、6割以上が「チャットGPT」等生成AIを利用したことがあると回答。文章生成能力の高さを評価する一方で、内容の信頼性の薄さや、精査する労力、生徒・学生が安易に使用することによる「思考力」低下への懸念が挙がりました。

■教員の業務効率化では有効な一方で、教育活動での利用は慎重

アンケートは、河合塾が運営する教員向け情報サイト「Kei-Net Plus」にてご案内し、139名の方から回答いただきました。

その結果、64%(大学:63% 高校:64%)が生成AIを利用したことが「ある」と回答しました。
使った感想として、簡単な文章構成、要約、コードのスクリプトなどの生成能力の高さを評価する一方で、特に「固有の事象」、「専門的な知識」、「個性が必要とされる文章」といったケースで内容に対する信頼性の薄さや、内容を精査する労力、生徒・学生が安易に使用することへの懸念などが挙がりました。

具体的な利用方法としては、「文書作成の試行」といった「お試し利用」が最も多く挙がりました。
続けて「問題・教材作成」と学校ならではの活用法が見られたものの、大半は「調べもの」「アイディア出し」「校内文書作成」など教員の事務作業等の効率化を目的とした活用が目立ちました。
「問題作成」では、「英語」の問題、選択肢作成、要約など、高校・大学双方からの利用が見られ、関心の高さがうかがえます。
また、「推薦書・志望理由書等」はメディアでも取り上げられたことから、実験的に試してみた先生方が多かったようです。
ただし、内容の出来については「最低限」という評価で、「個性が出るような文章を書くのは難しい」という記述も見受けられました。

現状では、話題になっているAIを実際に試して確かめてみよう、といった試行利用がほとんどでした。教員の働き方が問題視されるなかで、事務作業においては有効利用でき、業務の効率化につながるとポジティブに捉える方が多いものと考えられます。
一方で、実際の授業、教育活動における利用は、「信ぴょう性がない」「内容に誤りが見られる」といった理由から慎重なコメントが見られました。

活用割合、また活用の仕方については、現段階では高校と大学での傾向の差はさほど見られませんでした。

  • 生成AIの利用

    生成AI、64%が利用したことがあると回答

  • 具体的な利用方法

    具体的な利用方法

■生徒や学生による生成AIの学習への利用は、半数以上が「一部制限を設けるべき」

生徒や学生への利用についての考え方については、「自由に使うべき」は約3割にとどまり、約6割が「一部制限を設ける」または「禁止するべき」と回答しました。

・「自由に使うべき」派の理由…「制限・禁止のしようがない」といった回答が最も多く、「今後社会で活躍するために不可欠」「使うこと自体が学習になる」など、生成AIの有用性を認め、共存的な活用を前向きに検討する内容が見られました。
・「一部制限を設ける」「禁止するべき」派の理由…「情報リテラシーの不足」「著作権侵害」「情報流出の危険性」をはじめ、自ら考え、創造する力や、学習に向かう姿勢が身につかなくなるといったコメントが見られました。

特に、「思考力の低下」「発達への影響への危惧」といった教育現場ならではの指摘は、従来の生徒向け課題やテストの出題方法や授業の在り方とも密接に絡みます。「論文・レポートで剽窃につながる恐れ」や「適切な評価をどう実現するか」といった教育する側との危機感ともつながっているようです。
ただ、多くは、AIそのものを否定するのではなく、急速に進化する技術を「どう使いこなしていくか」の視点が必要になるという見方を示しています。

  • 生徒・学生への利用は半数以上が「一部制限を設けるべき」

    生徒・学生への利用は半数以上が「一部制限を設けるべき」

  • 生徒・学生への利用は半数以上が「一部制限を設けるべき」

    「一部制限を設けるべき」の割合は、高校よりも大学が多い

生成AIの利用に関する方針が出ている学校は、2割未満

方針が「出ている」は高校で2割未満。大学では約3割と、大学の方が高校に比べて方針が出ている学校が多く見られました。方針の内容は、「生成AIで作成した文章をそのまま自分が作成したものとして提出してはならない」「個人情報を入力しない」「著作権の侵害に注意」といったコメントが見られました。

  • 利用に関する方針

    利用に関する方針が出ている学校は、2割未満

  • 大学の方が方針が出ている学校が多い

    大学の方が方針が出ている学校が多い

[教育関係者対象|チャットGPT等、生成AIに関するアンケート概要]
対象:教育関係者(高校・中等教育学校、大学、企業など)
回答数:139件(内訳:高校・中等教育学校75人、大学40人、企業10人、その他14人)
実施方法:WEBアンケート
実施期間:2023年5月15日~31日


今話題になっているチャットGPT等生成AIについて、教育現場での受け止めや活用、注目している観点を知る材料として、広くご参照いただければ幸いです

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